ヤベー奴来ちゃったよ編 40

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「知り合いもなにも、家向かいだよ?」

ハァ!?ますますコエェヨ!なんで家知ってんだよ!混乱した私は、頭冷やして来いよ…とか一昨日来やがれ…とかそんな感じの捨て台詞を吐いて逃げ出した。元気がないんじゃない、混乱してるんだ。去り際に、今日一緒に帰ろーネ!と元気な声が聞こえたが、知らん奴と帰るなんざ冗談じゃねぇ、今日は寄って帰るとこがあるんだヨ!という意味も込めて無視した。

後ろからヒドーイ、とくすくす笑う声が聞こえた。全くしょげてないアヤツの声だ。家が向かいで知り合い?のそいつは完全に私を煽ってきている。本当に今日一緒に帰る、なんてことになったら煽り返してやる。

本日の目的がひとつ決まったところで、自分の席に生還。今初めて座ったんだけどな。生還じゃ。横には男子。ラッキー、人がいる。お隣さんというデフォルト設定により私のテンコーセイライフは華々しい幕を開けた。あんな正体不明のコエェ奴に追い回されるよりこのバッチシ初対面のボーイとつるんだ方がオモレーゼ?とゆーことで、話し掛ける。

「どーも、おっとなりさん」

私は窓際の、つまり教室の一番端の列なので、ひとつ教室の中心に近い所に席があるそのボーイの方に体を向けてアイサツしてやる。窓に背を向けたおかげで差し込む日光を背中全面で受けられる、またまたラッキー。やっぱこの席良いわね。私の目の高さが計り知れたわ(?)よっ、左賀サン、お目が高い!!
幸せのため息が勝手に出そうになってると、目の前のボーイが口を開いた。

「………おー…」

以上。少ない。なんてこった。これで終わりですか。ベタな学園漫画ならここは自己紹介する場面ですよ、今ちょうど自習だし、多少はっちゃけても大丈夫ですよ。僕は○○、よろしくね!みたいなシーンは無いのかエェ!?

「……」

数ある沈黙の中でも今回ばかりは私が待つ番である。珍しいね、私が人の反応待ってるよ!背中に暖かい日の光を浴びながら、なんか知らんけど頭の中で卒業式が始まった_卒業生が別れの言葉とやらをでけぇ声で叫んでいる_なぁ、なんて気楽にのほほんとした面を下げていたところ、お隣さんが、やっと自分のターンだと気付いたのか、こちらを見た。

「………」

ばっちり目が合い、まるで”何見てんだよ”と怪訝な顔つきで言われた気分になる。左賀は、あれ?もしかして私のターンだったか?と若干的外れなことを考えたが、そんなことはどうでもいいし興味ないヨ!なお隣さんは、めんどくせぇヤツでも見た時のように目をそらし、ついでにため息までつきやがった。

シツレーなやっちゃ。

「…ネ!朝拾い物したんだけど、見る?」

腹が立った、というわけではないが、自分の思い通りに行かせたいので喧嘩を売っとく。あっけなくスルーされた。なかなか手強い?奴ダナ、と意気込んだ左賀は先ほどよりも数倍鬱陶しい絡み方をし始めるのであった。まぁ全てガン無視されたという結果を先に伝えておこう。”お隣さん”はかなりガードが堅かった。

――このトランクなんだけどさぁ、落ちてたの。すごくない?私に運が回ってきたって感じしない?

――まだ中身見てないんダヨ、一緒に見よーゼ。

――てかでっけぇヨナ、人の1人や2人、簡単に入っちゃうゼ、なぁ?

――ア、そーだ、買い食いした食べかけのパン要る?(あげねぇけど)